物事には裏表や陰陽があると思います。

それを正確に理解することが世の中をシンプルに解釈するためには大事なのかもしれません。

陰と陽は同時に100%ずつ存在することはできません。陰が30%で陽が70%とか、50%ずつとか。そういう風になっています。たとえば

光と影→世の中には光も影も必要です。でも100%の影は怖いですし、100%の光はおちつかない。バランスが必要です。

愛(または憎しみ)と無関心→関心が全くないけど100%愛している、ということは両立しないですが、100%愛しているけど、100%憎んでいる、ということは両立するようです。関心と愛(または憎しみ)とがイコールであるという事は、子どもたちにとっては大人からの関心は(たとえ憎しみであっても)時と場合によっては報酬になるのかもしれません。

信頼と心配→たとえばですが、飛行機に乗るときにパイロットの心配をしますでしょうか?長距離バスの運転手さんがご高齢でひどい咳をしながら運転していたら運転手さんの心配をするでしょうか?100%信頼しているけど100%心配している、ということは両立しませんので、70%のエネルギーで心配しているということを伝えるという事は、30%のエネルギーで信頼している、裏を返すと70%は信頼していないよ、というメッセージを伝えてしまっているのかもしれません。

安心と不安→不安とは将来の危険を予測して鳴らされるアラームのようなものでしょうか。誰でも日々安心して生活したいと願っていますよね。不安が高まるとその分安心が失われます。大事なことは我々が安心を得るために何を求めているのかを知る事なのでしょう。

自閉性と共感性

人は誰でも自閉性と共感性を人それぞれのバランスで持っています。自閉性とは自分の時間やエネルギーを自分の興味や関心のあることに使いたいという本能的な欲求の事。共感性とは誰かと一緒に気持ちや感情を共有していたいという欲求の事。

研究によると全ての人々を平均すると、もっとも頻度の高いバランスは自閉性30%、共感性70%のようです。仕事以外の時間の70%はおしゃべりしたり遊んだりして誰かと気持ちを共有したい、残りの30%の時間は自分の趣味や関心に費やしたい、というのが普通の人のバランスなのでしょう。

社会的に高い立場にある人は若干自閉性が高めというデータがあります。友人に流されずに勉強や仕事を頑張ることができる人たちなのかもしれません。このバランスは偏差値と一緒で正規分布をしますので、極端なバランスになればなるほど数が少なくなります(マイノリティーになる)。

このバランスが逆転して、自閉性が70%、共感性が30%くらいになると、世の中との折り合いが難しかったり対人関係で傷ついたりすることの経験を通じて生きづらさを強く感じる場合があります。

適応障害を起こしたり気分障害を起こして医療機関を受診した時に「自閉スペクトラム症」という診断がなされることがあります。どうやら世の中の10%弱の人たちは自閉性優位のバランスのようです。自閉性が90%を超えてくると幼小児期から日常生活の困難さが著しい場合が多く、早期からの十分な支援が必要になってきます。

自分の心をみつめるとき、自分自身の自閉性と共感性のバランスが平均と比べてどのようになっているのかを知っておくことはとても大事だと思います。

もっと大事なことはその特性は大きくは変わらないですし、変える必要もないという事を知っておくことです。必要なことは共感性優位な人は何を安心感の源とし、どのような優先順位をもって生活しているのか、自閉性優位な人の安心感の源はどこにあり、人と関わるうえでの優先順位はどうなっているのかを知る事なのでしょう。