有史以来、「有益な情報をより多く集めることができる人=力のある人(有力者)」でした。

リアルタイムの生きた情報が多く伝わってくることは生存にとって有利だったのでしょう。

文明の発展に伴い活字で情報が伝わるようになり、近年ではラジオやテレビで情報を受け取ることができるようになりました。それでもずっと、生活に必要な有益な情報の多くは「口コミ」で人から人へと伝わってきたことは変わらず、口コミの情報が多く入ってくる人が有利な世の中でした。

そのような世の中では大家族の方が有利ですね。そして共感性の高い人間の方が有利です。たくさんの知人がいて、多くの時間をおしゃべりに費やすことを苦にしないタイプの人間は力を持ち、生存に有利だったのです。

ついこの間までは。

 

世の中がこの20年ほどで大きく変貌し、今はネット環境とスマートフォンによって手のひらであらゆる情報にアクセスが可能になりました。そして個人が情報を発信することも容易に可能です。

現在の「力」はもはや情報を集めることではなくなりました。

現在の「力」は情報をコントロールすることのできる能力と、ネットのセキュリティーに精通し、安全に情報を発信することのできる知識だと思います。

共感性が高いタイプの人がSNSを利用し始めた後、その場のノリで友人たちと悪ふざけをして、深く考えずにネットに投稿してしまうという出来事が繰り返されます。しかし、一度失敗した投稿はネットから完全に消去することは困難です。

力のパラダイムシフトが起こっているのだと思います。自閉性の高いタイプの人たちが力をつけ、世の中全体の主導権を握りつつある、そういう時代が到来してきているのかもしれません。

大家族よりもシンプルな家族構成の方が快適に感じる人も増えてきました。この大変動の時代に生きる私たちが変化に適応するために大切なことは、(感情を入れずに)現実をシンプルに解釈してみる、ということなのかもしれません。